日本一の待ち合わせ場所になったハチ公前。その理由の物語をご紹介!

もし「日本で一番有名な待ち合わせ場所は?」と聞かれたら。
多くの人が、渋谷の忠犬ハチ公像を思い浮かべるのでは
ないでしょうか。

携帯、スマホの普及によって、昔ほど待ち合わせ場所が重要では
なくなりましたが、そんな今でも、ハチ公像の前には多くの人が
集まります。

長きに渡り愛され続けてきたハチ公像。そのモデルとなった
「ハチ」と主人。そしてこの像がいかにして有名になったのか、
それを調べてみました。

ハチとその主人・上野栄三郎

ハチの主人は、上野英三郎という人で、東京帝国大学で農学部の
教授をしていました。「ハチの飼い主」として一般では有名ですが、
農学博士としても名のある方で、彼の名前からとった
「上野賞」という賞もあります。

ハチは1923年に秋田で出生し、翌年の1924年に上野栄三郎の
飼い犬となりました。上野はハチを可愛がり、ハチも玄関先で、
時には駅まで主人を迎えに行っていたそうです。

しかし、ハチを飼い始めて1年後、上野は脳溢血で倒れ亡くなって
しまいます。このとき、ハチは3日も餌を口にしなかったといいます。

その後、ハチは、上野の妻の親戚、そして植木職人の小林菊三郎へと
飼い主が変わっていきます。

小林は職人として見習いの頃から上野と親しく、ハチのことも大切に
世話をしていたといいます。

小林菊三郎が忙しい時、弟の友吉が散歩につれていったり、近所の
肉屋の夫婦に可愛がられたりと、ハチも新しい飼い主に馴染んでいった
かのように見えました。

しかし、それでもハチが渋谷駅に行くことは止めませんでした。
それは雨の日も雪の日も変わらなかったといいます。

一般投書で有名に その後銅像へ

渋谷駅に行き続けたハチですが、人々の視線は決して暖かな
ものではなかったようです。

子供にいたずら書きされたり、近くの商店の店主に邪魔だから
と追い払われたり、野犬狩りに捕まったことも何度かあったそうです。

そんなハチの状況を憂いたのが、日本犬保存会の初代会長である
斎藤弘吉でした。

彼はハチの記事を朝日新聞に寄稿。これが「いとしや老犬物語」として
大きく取り上げられ、ハチは一躍有名犬となります。

その後、ハチの彫像をつくり好評を得た彫塑家、安藤照や渋谷駅長の
吉川などの間でハチの銅像をつくる話が出てきます。

そして、銅像は完成し、1934年の3月10日に除幕式が行われました。

 

この除幕式にはハチも参加していました。たくさんの人にかこまれ、自身の
銅像を不思議そうに見るハチ。その様は「ハチ公キョトン」と新聞に載りました。

しかし、それから約1年後の1935年の3月8日にハチが渋谷川にかかる
稲荷橋付近で死んでいるのが発見されました。
享年11歳。人間でいえば60代後半となります。

ハチの死後、渋谷駅構内で告別式が営まれ、多くの人が参加したといいます。

今の銅像は2代目。駅の開発にともない移動していた。

皆に愛されていた忠犬ハチ公像ですが、1941年、太平洋戦争の悪化に伴い
金属回収令が施行され、ハチの銅像は提出されることになってしまいます。

これには関係者の抗議もありましたが、全国の銅像や鐘、さらに民間人の
鍋なども対象となっていた時流には逆らえず、ハチの銅像は撤去される
こととなりました。

もっとも、回収は表向きで、実は戦争終結後まで保管して取り扱う
つもりでした。しかし、玉音放送の前日、1945年8月14日に銅像は溶解され
機関車の部品とされてしまいました。

戦争の終結から3年の1948年。銅像を作った安藤の息子、安藤士によって
再びハチ公像が制作され、除幕式が行われました。

この除幕式にはGHQの代表も参列しました。というのも、忠犬ハチ公の
物語は戦前から欧米にも広く知られており、GHQの愛犬家有志が、
様々な支援を行い、特別に再建が許可されたのです。

これが、現在の忠犬ハチ公像であり、その後、渋谷駅の改装に伴い、
場所を移動して、今も変わらず愛され続けています。

ハチ公、80年ぶりに主人と再会!!

ハチ公没後80年になる2015年に、東京農学部キャンパス内に、新たに
ハチ公像が完成しました。それは飼い主の上野栄三郎に飛びつく姿で、
ハチは80年ぶりに主人と再会できたことになります。

当時、ニュースとしても取り上げられたので、もしかしたらご存知の方
もいらっしゃるかもしれません。

ハチが嬉しそうに飛び上がる姿は、80年前もきっとそうだったのだろう
と思えます。

まとめ

改めてハチとその銅像について調べてみると、色々な発見がありました。
銅像が2代目だったり、再建にGHQも関係していたりと、最初に想像していた
より、ずっと意外な事実の連続でした。

それでも一貫して変わらなかったのは、ハチ公像がずっと愛されている
存在だということでしょう。

これからもハチ公像は、渋谷駅のシンボルとして、愛され続けて
いくのでしょうね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です