マイナンバーカード・運転免許と一体化の疑問と メリットを考察

2020年6月に、政府がマイナンバーカードと免許の一体化を
すすめることを発表しました。

コロナウィルスによる給付金で久しぶりに話題になったマイナンバー
制度とカードですが、普及率が低く、今回の給付金の件でも
マイナンバーカードを用いないため申請、そして実際に手元に届くまで
非常に煩雑な作業があったと伝え聞きます。

政府がなぜマイナンバーカードと免許証の一体化を進めようと
しはじめたのか。そして、そのメリットはいったいなんなのか。
今回は、これを調べてみました。

マイナンバー制度のメリット

そもそも、マイナンバー制度とはどんなものがあるのでしょうか。
今回は、国、個人のメリットを挙げてみます。

国にとってのメリット

国民の管理がしやすい

日本に住む私たちには、すでに色々な制度によって番号が振られています。
例をあげますと、
年金:「基礎年金番号」
運転免許証:「免許証番号」
健康保険:「保険者番号」

ただ、これらは個々に違い、それを個々の役所で使われています。しかし、番号がそれぞれに
違い、また長く複雑なため、役所間での情報共有には不向きでした。

そのため、私達は、ある書類を役所に提出するために、別の役所から書類をもらい、それを
添付するという面倒な作業をさせられてきました。

マイナンバーを使えば、これらが一括で管理されるため、役所間、さらに省庁間でも
情報の共有がしやすくなります。
これにより、煩雑な手続きが少なくなり、コストカットにもつながると言われています。

脱税や犯罪に使われる銀行口座を、より厳しく取り締まれる

マイナンバーのもう一つの大きなメリットが、脱税や犯罪組織の銀行口座を
取り締まれることです。

マイナンバーと銀行口座は紐付けられているので、逆に紐付けられていない
口座は、脱税やなんらかの犯罪に関与している可能性が高くなります。

個人のメリット

コンビニで住民票や印鑑証明を発行できる

個人がメリットとして、一番実感できるのは、このサービスではないでしょうか。
それまでは、平日の昼間に役所に行き、そこで発行してもらうしか方法はありません
でしたが、多くの人にとってこれはなかなかに大変です。

それがコンビニでしたら、曜日を問わず、6時から23時の間に発行することが
可能です。これならば、仕事帰りに発行するのもかんたんですね。

ただ、注意する点があります。一つは、紙の「通知カード」では出来ないという
ことです。プラスチックのマイナンバーカードでのみ、このコンビニサービスが
利用できます。

2つ目は、書類の種類によって平日の昼間にしか発行できないものもあると
いうことです。これは自治体によって違うので、事前にサイトなどで
調べてみましょう。

細かな点もありますが、やはり普段使うコンビニで必要書類を発行できる
というのは、圧倒的な利便性です。これは見過ごせない所でしょう。

電子確定申告にも便利

手続きが面倒なことで有名な確定申告。これも電子確定申告でマイナンバー
カードを用いれば、少しは手続きが簡略化されます。

といっても、現状(2020年6月現在)では、カード対応のスマートフォンが
必要で、機種もアンドロイドのみとなっています。
今後普及が進めば、より手続きが簡略化されるかもしれません。

改めて見ますと、国にとってはメリットは大きいですが、個人にとって
いまひとつメリットが薄いように感じます。
次項で詳しく取り上げますが、やはりそれが普及率の低さにつながって
いるようです。

マイナンバー制度の開発費・低い普及率

マイナンバー制度を実施するにあたって、かかった費用は約3200億円と言われ、
さらに維持費として、毎年300億円ものお金が使われています。
ですが、2016年から始まって4年が経過しているにも関わらず、現在の普及率は
全国平均で16%ほどと、とても低い数字となっています。

個人にとってメリットが薄いのは前述しましたが、それでもここまで普及率が
上がらない理由は何があるでしょう。

通知カードと交付申請書

通知カードを持っているという方は多いと思います。しかし、ここからマイナンバーカード
を申し込むのに、「交付申請書」という大きな壁があります。

現在は、パソコンやスマートフォンによる申請もできますが、どれにしても
交付申請書」が必要になります。

この「交付申請書」は送られてきた通知カードの下についているものです。
ですから、通知カードを持っている方はこれも一緒に手にしているはずです。

しかし、申請書の重要性を理解して、保管している方がどれだけいるのか
大いに疑問があります。

市役所などで再発行ももちろん可能ですが、その場で渡されるわけではなく、
市町村から発送まで、約1ヶ月かかります。

この面倒さが、マイナンバーカードの普及を阻んでいるのでしょう。

運転免許との一体化は、普及率をあげるため?

現段階では、政府が工程表の作成を発表しただけですので、具体的なメリット
については不明瞭です。

これは私の憶測ですが、政府がマイナンバーカードと運転免許の一体化を考えているのは、
普及率を上げるためなのではないでしょうか。

同時に、大きな壁となっている交付申請書の問題も、運転免許センターとの
連携によって改善する思案もあると見ています。

まとめ

現状、マイナンバー制度は巨額の費用がかかっているにも関わらず、
個人にとってメリットは薄く、申込み方法も面倒で、それが原因で普及に
至っていない、という問題があります。

運転免許との一体化によってどんなメリットがあるのかも、はっきりと
していません。しかし、普及率の低さを政府も問題視しているのは
間違いないでしょう。

政府は年内に工程表を発表するとしていますが、それと同時に
この制度が、より使いやすくなるよう、どんな改善がされ、どんな機能が
付け加えられるのか、私達は注視していくべきでしょう。

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